最近耳にすることが増えた「ソフト老害」という言葉。「老害」には関係ないと思っていた世代の人も自分も当てはまる?と頭に残って気になっている人もいるのでは?この記事ではソフト老害の特徴とは?ということ、一緒によく使われる「MJS」の意味や実際の具体例から知らないうちに自分が加害者にならない対策を考えます。
ソフト老害とは?
ソフト老害という言葉は放送作家の鈴木おさむ氏が発信・提唱された言葉です。自身の著書「仕事の辞め方」(2024年1月発売)でも使われています。簡単に説明すると
本来なら老害の対象年齢に当てはまらない30~40代の中間管理職的な立場の社会人で、自身の上司のプライドを傷つけず、かつ部下の意見も取り入れ上手くまとめたつもりでも、その行動自体が若い世代から見るとすでに老害にあたること を意味します。
ということが本人のSNSでの発言からわかります。
2024年3月31日をもって32年も従事されていた放送作家ならびに脚本業も辞めると宣言されている鈴木氏。ソフト老害というものを身をもって感じた事が自身の引退を決意する一端にもなっているとのことでますます気になる言葉です。
ソフト老害の特徴とは?
ソフト老害の特徴は、上司や部下にとりなしている本人が良かれと思ってやっていることです。状況をスムーズに収めることが出来たと思っていることが自分だけ、感謝されていない可能性…というのはちょっと残念です。
本人にとっては善意、ってことがかえってやっかいってことか。
部下にとっては、上司とサンドイッチになっている当人の都合のいいように意見を上手くまとめられてしまった…と心の中では思ってるかもしれないですね。
MJSの意味とは?
「ソフト老害」を語る時、切っても切り離せないワードが2つ存在します。それが「MJS」と「スルー推奨」です。
まず「MJS」の意味は何なのか。ソフト老害を象徴する『やってはいけないNGな行動パターン』つまり「ソフト老害」を端的に説明する言葉です。
- 「 M 」=昔話
- 「 J 」=自慢話
- 「 S 」=説教
これ、もうすでに老害じゃないの?コロナも落ち着いてきて
飲み会が増えた席でこういう行動や発言復活してない?
いきなり説教じゃなくて「君のいう事もわかるよ、~」と最初に共感、歩み寄りを見せているところがちょっと上の世代と違うからかえってめんどくさい。結局は自分の意見寄りにもっていくからね。
MJSの特徴は?
- 相手の意見を否定する雰囲気や言葉を発する
- 今までの社風や上司、年配者の価値観の押し付け
- 自分の方が柔軟な行動を示せない
- 上手くとりなしていると満足している
ハッとすることがあれば要注意!具体例でもっとわかりやすく。
ソフト老害の具体的な例とは?
鈴木おさむ氏が名付けた言葉ですが、世の中では同意や共感の発言もあり広まっています。内心、言葉には出来なかったがモヤモヤの正体はそういうこと!と感じていた人は案外多いのかもしれません。具体例を示します。
ソフト老害 具体例
①否定から入る
・そうじゃなくて○○した方がいいよ。
・違う。言ってることもわかるけどこれは~…
結局、認めてるようで認めてない。柔軟性に欠ける
②説教が長め
・あなたのことを心配して言ってるの!
・このままじゃあなたが心配で~
自分の持論が正しい方だと信じている
③ポジショントークが口ぐせ
・わかるけど昔はもっと大変だったから~
・俺の若い頃は○○が当たり前で~
自分目線で相手を自分側に誘導しがち
④幸せの価値観の押し付け
会社だけではなくて日常生活の中にも「ソフト老害」は潜んでいます。
・結婚はしておいた方がいいんじゃない?
・子供はいいよ!
・就職は大手の方がいいよ!
多様性が置いてけぼり。良いと思う価値観はひとそれぞれ。
管理人もそういえば結婚して5年程子供がいない時に、ご年配者ではなくて若い先輩に「子どもはいいよ~♪」と言われて困ったことあります。いいのはわかるけど、事情があったので内心ムッとしました。
ソフト老害 スルー推奨とは何か?
「スルー推奨」とは、実際に「ソフト老害」に出会った時に真正面から受け取らなくていい言葉に対しての対処です。「ソフト老害」の人とうまく付き合うためにこの思考や対処を心得ていると
■受ける側はダメージも少なくて済む。
■不用意に発言し加害者側になることを防げる。
両方にとってといいですね。次の投稿が世の中に響いています。
スルー推奨の言葉たち20選
下記の後藤 迅斗さんのX(Twitter)の投稿は話題になっています。2020年からフリーランスで活動されているWebライター。うつ病で休職、経験をもとに『社会人の心の守り方』を発信されています。
① | 石の上にも三年 | 年数より体調優先 |
② | 仕事は我慢するもの | 楽しいに越したことはない |
③ | もっと先輩を敬え | 尊敬できる人ほど言わない… |
④ | お前のためを思って | ほとんど「自分のエゴ」 |
⑤ | 最近の若者は… | スルー推奨の代表格 |
⑥ | 風邪くらいで休むな | 皆勤賞なんていらない |
⑦ | みんなしんどいのに | しんどさはひとそれぞれ |
⑧ | やる気あるんか? | 逆にやる気をなくす。 |
⑨ | もう帰るん? | 残業の同調圧力は勘弁 |
⑩ | 普通こうじゃない? | 「普通」ってなんだろう |
⑪ | 厳しいこと言うけど | 謎の上から目線 |
⑫ | 付き合い悪いな | しんどさは人それぞれ |
⑬ | そこは空気を読んで | 私は超能力者じゃない |
⑭ | 俺の酒は飲めない? | ただの「アルハラ」です |
⑮ | どこでも通用しない | それを防ぐためにやめます |
⑯ | 友達は多い方がいい | 本音で話せる数人でいい |
⑰ | 大企業の方がいいよ | 仕事内容と社風の方が大切 |
⑱ | どうせ失敗する | いう人ほど何もしていない |
⑲ | まだ○○しないの? | 結婚・出産など |
⑳ | うつ病は甘え | 気合いで治れば苦労しない |
書き起こすと20コもありますね!その他にも受ける側にとっては、ダメージになる言葉はきっとそれぞれありそうです。
ソフト老害 加害者側にならない対策は?
当のソフト老害といわれる世代の人たちはどう考えているのでしょう。彼らは根底に善意が根本にありでソフト老害に陥っているだけであって役に立とうと思うこそすれ、傷つける、心象を悪くするつもりはないのです。上にも下にも気を使っている世代、自分で上手く状況を丸く収めようとするところに加害者としての対策がありそうです。
加害者側にならないための対策
若い世代が感じる違和感は、仕事の内容や結果が上手く「ソフト老害」世代側の意見に寄せられた、と思うことです。このことから考えられる対策は次のような項目です。
- アドバイス、説得する時に「~すべき」という強要の言葉は使わない
- 前例や過去を重んじて踏襲することにこだわらない
- 自分の意見だけを述べない
・アドバイスは自分の武勇伝などはいれずに謙虚に!
・部下に状況をまとめることを任せてみる機会を作る
・若い人に学ぶ姿勢を心がける
まとめる時に意見を出すより、早めに自分の考えを伝えておくと部下は「上手くまとめられた」感じはしないかも、ですね。
まとめ
「ソフト老害」は「老害」とは異なります。自分の若い頃と置き換えて若い世代と上司や年配者の間をとりなそうとする気持ちがあればこそです。社会人ともなると上司との付き合いの方が長いのでそちら寄りに上手く若い世代を寄せようとするので違和感を持たれます。良かれと立ちまわっている言動自体が「ソフト老害」で、自覚のないままでいる30~40代の中間管理職層が主にこれにあたります。
スルー推奨の言葉を使う様であれば、実は年齢は関係ないのかもしれません。
この言葉に興味がある時点で改善の余地があるはずです。橋渡しをしようとすることに固執せず自分が相手にフラットでいることが加害者側にならないポイントになるかもしれません。若い世代も「ソフト老害」に遭遇したら良い意見と思うことは吸収し、あとはスルー推奨で自分のペースを保てるように出来たらいいですね。